棺プロジェクト

赤ちゃんの棺『夢旅』が出来上がるまで①

赤ちゃんの棺『夢旅(ゆめたび)』の完成までの道のりを少しお話します。

夢旅が生まれた理由

突然の赤ちゃんとの別れに戸惑い、その悲しみは計り知れないものがあります。

その悲しみに少しでも寄り添い、赤ちゃんとママ・パパ、ご家族のやわらぎある時間のお手伝いができたらいいなという思いから、なごみでは2021年6月から赤ちゃんの棺の開発を進めていました。

赤ちゃんとの「出会い」、「別れ」のお手伝い

突然の赤ちゃんの死の対面を余儀なくされた家族は戸惑い、驚き、その悲しみは計り知れません。万が一、母親学級などで異常に備えての講習で聞いたとしても、自分自身に起こることは予測していない方がほとんどだと思います。そのため、突然の入院に続く分娩、何の準備もなく子どもと出会い、そして別れなければなりません。

太田(2006)の研究発表から死産を経験した12名の母親全員が「子どもとの出会いや別れに悔いを残している」と報告しています。

また、なごみInstagramでは、約900名の天使ママのフォローをいただいており、その中で2021年10月13日付で「赤ちゃんを亡くされた時、どんなことに「後悔」として残っているか」という質問に26名の方からご回答をいただきました。
その内容には、抱っこできなかったこと、洋服を着せてあげられったこと、自宅に連れて帰れなかったこと、写真を残さなかったこと等があげられ、約9割の方が赤ちゃんとの別れに後悔をもっている方がいました。

また、2021年9月29日付け赤ちゃんの棺についてを限定とした質問(「赤ちゃんの棺で困ったことはありますか」)では、17件の回答をいただきました。

その回答からは「赤ちゃんの棺の準備に困った」、「ちいさな棺がなかった(百均、ホームセンター、LOFTを探した)」、「赤ちゃんの棺の準備ができず空き箱に眠らせた」、「かわいい棺がネットでは少ない」、「仕方なくペット用の棺を購入した」など、赤ちゃんの棺で困ったことがある方が意外と多いことに気づきました。

親としてできることを支える

日本では病院のシステムや地域の火葬場の状況から母親や家族が赤ちゃんと過ごせる時間に限りがあります。

季節により赤ちゃんを長時間安置させることで、赤ちゃんの容貌が変わってしまうと恐れ、赤ちゃんと一緒に過ごす時間よりも火葬を優先する母親(家族)が少なくない傾向にあります。親はわが子に何かできることはないかと模索し、母親は辛い出産を終えた直後から、自身の身体の回復を前にわが子と過ごす時間を大切にします。

なごみでは亡くなった赤ちゃんを出産直後からその赤ちゃんを尊重したケアを実践することが、死産を経験した家族の悲嘆過程を支えるグリーフケア(悲しみの回復を支えるケア)となると考えています。そのため死産を経験している母親とその家族の心理に寄り添いながら、亡くなった赤ちゃんをひとりの人間として、生きて生まれた赤ちゃんと同じように接することが重要なケアだと考え、亡くなった赤ちゃんの出産を目前とされている方からの問い合わせには十分な配慮を施しています。

また、なごみでは、赤ちゃんの棺を何種類か用意し(柄、サイズともに)、両親が棺を選び、決め、準備してあげるという親としての役割を果たせるよう配慮している。(※棺を準備できることが最良という意味ではない)。

火葬までの時間を家族とともに過ごせることが、死産を経験した家族の長期的な支援に繋がると考えています。

夢旅見本1

その2に続く

-棺プロジェクト

© 2024 なごみ